なぜ保育園・幼稚園に言語化が必要なのか?(2)

「共感採用」と「言語化」

組織作りにおいて、最初に行う(見直す)のは採用です。
頭数合わせの採用や福利厚生で釣ってくる採用ではなく、企業の理念や経営者の想いへ共感に基づいた採用(理念採用・共感採用)を行うことが必要です。欲しい人材を惹きつけ、理念に本当に共感した人材が増えていくことで、更に強い組織を作り上げることができます。

この「理念採用」や「共感採用」で最も大事なことは、「園の言語化」です。保育や教育は、形のない抽象的な概念です。この抽象的な事柄を他人に「分かりやすくかつ差別化して伝える」ことが採用では必要になります。そのためには、経営者や園長だけでなく、職員ひとりひとりが「私たちの園はこんな園です!」と「自らの言葉で表現する」ことが必要なのです。

自分たちの園を伝えられない

みなさんは「皆さんの園はどんな園ですか?」という問いにどう答えますか。

実は、この質問にちゃんと答えたれる経営者は多くいません。どんな園なのかを考えていないのではありません。むしろ、いつも園のありたい姿を真剣に考えていると思います。しかし「頭で理解すること」と「人に伝えること」は全く別物です。いつも経営者と近い距離にいて、付き合いの長い職員さんは、園のことも経営者のことも理解してくれていると思います。でも、それでは採用はうまくいきません。

仮に、「私たちの園はこんな園!」と答えていただいた場合でも、学生目線で他の園との違いが分からないことも多々あります。採用における「私たちの園はこんな園」の回答は、他園とに違いが分からないといけないのです(差別化)

保育の業界に携わって、私が一番難しいなと思ったことは、経営者の考えを言語化すること。経営者は、先を見て考えていますし、そもそも保育・教育という抽象概念を扱っています。分かりにくいのは当然のことなのです。

だから、経営者の考えを整理し言語化することが必要なのです。

園の職員さんはなんて答えますか?

皆さんの園の職員さんは「あなたの園はどんな園ですか?」という問いになんて答えるのでしょうか?

一番多い回答が「大変だけどやりがいのある園」。これが圧倒的に多いです。

他にも、「職員みんな仲の良い園」「元気いっぱいな園」「子どもたち中心の園」「メリハリのある園」など色々出てきますが、みんなそれ言ってるよ。の話になってしまいます。もし、園の若手職員が自分の園を語ることが出来ると、「後輩を園に誘うことが出来る」「養成校で教授に伝えることが出来る」というリファラル採用(口コミ採用)につながります。

その際には「経営者の考える自園」と「職員の考える自園」のすり合わせも必要です。